男性と一緒にお酒を飲むだけで報酬が得られると人気のギャラ飲みですが、テレビやネットでは「ギャラ飲みに国税調査が入った」というニュースが話題になっています。
東京国税局が有名ギャラ飲みサービス運営会社を調査
ギャラ飲みは、飲み会に参加して男性とお酒を飲みながらおしゃべりするだけで報酬がもらえるため、気軽に稼げると若い女性の間で人気になっています。
飲み会に参加したい女性と、女性を飲み会の場に呼びたい男性の間に入るのがギャラ飲みサービスですが、そんなギャラ飲みサービスに2022年2月、国税庁の調査が入ったとニュースになりました。
一定の料金を支払って呼んだ女性らと一緒に飲食する「ギャラ飲み」と呼ばれるマッチングサービスをめぐり、店に派遣される女性らに税金の申告漏れの疑いが相次いでいたことが、関係者への取材でわかった。東京国税局は運営会社への税務調査の過程でこうした状況を把握。収入を得ながらも納税についての知識がなく、申告しないケースが多発しているとみられる。
引用元:朝日新聞デジタル
記事によると、調査を受けたのは運営会社ですが、そこから申告漏れの女性キャストが発覚。数十人ものキャストが、年間数百万円以上の収入を得ながら申告していなかったことがわかりました。
ギャラ飲みの収入は確定申告が必要なの?
ギャラ飲みで報酬を得た時、必ずしも確定申告が必要になるとは限りませんが、次の2つのいずれかに当てはまる時、確定申告をしなければなりません。
- 「ギャラ飲みが本業」&「年間所得が48万円を超える」
- 「ギャラ飲みが副業」&「年間所得が20万円を超える」
「ギャラ飲みが本業」&「年間所得が48万円を超える」場合
ギャラ飲み以外に収入がない場合、年間所得が48万円を超えた時に確定申告が必要になります。
48万円という金額は、最低限の生活を維持するために誰でも収入から一律で引くことができる基礎控除の額です。つまり、48万円を超えていない場合は所得自体が「0円」と見なされ、確定申告をする必要がありません。
「ギャラ飲みが副業」&「年間所得が20万円を超える」場合
会社勤めをしていて副業がギャラ飲みの場合、年間所得が20万円を超えたら確定申告をしなければなりません。
現在は「副業OK」という会社も多く、本業のかたわらにギャラ飲みをしている人も多くなっていますが、副業であっても収入があれば必ず確定申告しなければなりません。
報酬は経費を差し引くことができる
ギャラ飲み以外に本業がある場合は所得が48万円、ギャラ飲みが副業の場合は所得が20万円を超えたら確定申告が必要ですが、この「所得」は「収入(報酬)」とは異なります。
所得は、収入から必要経費を差し引いたもの。つまり次の計算で求められます。
ギャラ飲みの報酬を給与としてもらっていなければ、ギャラ飲みにかかった支出は必要経費として収入から差し引いてOK。
ちなみに、ギャラ飲みの経費には次のようなものがあります。
- ギャラ飲み場所への交通費
- ギャラ飲みに使用した衣装代
- ギャラ飲みの仕事のための書籍の購入代
- ギャラ飲み仲間との交際費
- ギャラ飲み相手へのお土産・プレゼント代
など
支払う必要あり!?ギャラ飲みの収入に関わる税金
税金と言われてもイマイチよくわからないという方も多いはず。しかし、収入を得ている以上、税金は必ず意識しなければなりません。
一定額の収入を得たら支払いが必要「所得税」
ギャラ飲みで報酬を受け取った場合、支払い義務が発生するのが「所得税」です。
会社に勤めていたりアルバイトで給与をもらったりしている場合、会社が「源泉徴収」という形で代わりに納税を行ってくれます。
しかし、受け取った報酬が源泉徴収をされていない場合、先ほどお話した一定額を超えていたとき(本業がある場合は所得が48万円、副業の場合は所得が20万円を超えたとき)には確定申告をして、所得税を納税する義務があります。
ギャラ飲みは基本的に給与ではなく報酬になるので、自分で確定申告をして納税をしなくてはなりません。
ちなみに所得税には様々な種類があります。
収入が1,000万円を超えた場合「消費税」
ギャラ飲みの収入が1,000万円を超えた場合、消費税の納付義務が発生します。
この場合の収入は経費などを差し引く前の金額(=報酬)であり、所得ではないので要注意。
ただし、1,000万円を売り上げたからといって、その年に消費税を納めなければならないわけではありません。基本的に1,000万円を売り上げた2年後に納税となりますが、例外として1~6月までに1,000万円を売り上げた時は翌年に納税となります。
所得税がかからなくても「住民税」の申告は必要
「ギャラ飲みは20万円以下なら申告は不要」という情報がネット上でよく見られますが、これはあくまで所得税に関してで、住民税は20万円以下でも申告の義務があるので注意が必要です。
申告漏れ・無申告の場合はどうなる?罰則は?
確定申告をしなかったり、し忘れていたりするとペナルティとして次のような罰則がかかる恐れがあります。
- 無申告加算税
- 延滞税
無申告加算税
無申告加算税は、期限内に確定申告をしなかった時に課されるペナルティで、本来払うべき税額にプラスして罰金を支払わなければなりません。
無申告加算税は、納税額の50万円分までは15%、納税額の50万円を超える分は20%の罰金が科されます。
つまり、本来100万円の税金を支払う必要があった場合、100万円のうち50万円分は15%(50万円×15%=75,000円)、残りの50万円分は20%(50万円×20%=100,000円)となり、無申告加算税175,000円を本来の税金100万円にプラスして支払わなければなりません。
延滞税
延滞税は、本来税金を納めるべき期日を過ぎた場合に課される罰金です。
税率は本来納めるべき税金の7.3%~14.6%となっており、納税が遅れれば遅れるほど増えていきます。本来納めるべき税金を支払った後、延滞していた日数分で延滞税が計算されます。
ギャラ飲みの収入がバレるのは一体どうして?
「黙っていればバレることはないでしょ?」と思われがちなギャラ飲みの収入ですが、確定申告もせず、税金も納めないと税務署にバレる可能性は高いです。
運営会社から税務署にバレる可能性が高い
ギャラ飲みがバレる可能性として一番高いのが、ギャラ飲みサイトの運営に税務調査が入るケースです。
基本的にギャラ飲みをする女性は、何かしらのアプリに登録していることがほとんど。アプリの運営会社が法人の場合、定期的に税務調査が入ると考えるのが一般的です。
運営会社では、女性に支払った分は自社の利益ではないことを証明するため、「誰に?」「いつ?」「いくら支払ったか?」といった情報を税務署に報告する義務があります。税務署が調査すれば、収入がいくらなのか、確定申告をしているかどうかは当然税務署にバレてしまいます。
住民税から会社にギャラ飲みがバレる可能性も
副業でギャラ飲みをしている場合、「会社にバレたくない」と確定申告をしない人もいますが、逆に会社にギャラ飲みをしていることがバレてしまう恐れがあります。
お話したように、副業であれば20万円を超えない限り所得税はかかりませんが、住民税は別。申告して住民税の納付方法を選択しておかないと住民税の特別徴収税額変更通知書が会社に届き、副業がバレる可能性があります。
確定申告をして安心してギャラ飲みをしよう!
ギャラ飲みで稼いだお金は確定申告が必要です。
「黙っていればバレないでしょ?」「確定申告なんて面倒」という方も多いかもしれませんが、お金を稼いでいる以上税金については意識しなければなりません。
確定申告をしないと国税庁の調査が入り、重いペナルティが課されて巨額の罰金を支払う羽目になることもあるので、所得税の申告漏れにならないよう注意しましょう。